IT翻訳で食っていく

現役のIT翻訳者がTOEICや翻訳について書くブログ

AI翻訳は人間を超える?翻訳の未来をひもとく

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現役翻訳者のネコ1000%です。

最近、「AI (人工知能)」という言葉を聞くようになってきました。新聞やニュース、広告などにもたびたび登場する言葉です。

1番身近なAIというと、iPhoneのSiriではないでしょうか。

Siriはユーザが話しかけると、それに応じて音声で必要な情報を調べてくれます。

それ以外にも音楽をかけたり、電話帳に登録している友人に電話をかけたりもしてくれます。

実は2010年代後半は「人工知能の第3次ブーム」と呼ばれており、AIの研究・開発が世界中で加速しています。

総務省の発表によると、「就労者の47%が代替できる可能性の高い職業に従事している」とのことです。

そして、AI翻訳はすでにGoogle翻訳や74ヶ国語対応の翻訳機ポケトークなどの開発が進み、かなり高い精度の翻訳が可能になってきています。

このまま進化していくと「翻訳者は仕事がなくなってしまうのではないか」ということも聞かれます。今回はこの点について書きます。

 

AI翻訳の登場で変わる翻訳の未来

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まず翻訳の未来についてです。優れた翻訳機が登場しています。

かんたんな日常会話であれば、翻訳機を使ってほぼ完璧に訳せます。

ビジネスにおいても、ある程度シンプルな内容であればほぼ正確に訳せます。

翻訳機の質は下の記事をご覧ください。
知り合いの翻訳者によると、「翻訳業界ではAI翻訳が徐々に現場に入ってきている」ようです。特に、一見むずかしく思われる法律や特許関係の分野です。

なぜこの分野にAI翻訳が浸透してきているのでしょうか?

それは、法律や特許の文章はあるていど形式や使われる用語も決まっているからです。

もちろん、まだまだAI翻訳だけで特許分野の翻訳を完ぺきに出来るわけではありません。これからも改良の余地はあります。

たいていの場合、最初の翻訳(下訳)はAIで翻訳します。その後、人間の翻訳者が少しずつ文章をチェックして不自然な訳がないかを見ながら修正します。

ただ、特許の分野でもこの手法が100%というわけではありません。

人間の翻訳者の役割が多様になる

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これはあくまで個人的な予想ですが、今後、AI翻訳はさらに精度が上がります。

それに応じて、人間の翻訳者の働き方も大きく変わると思います。

以下の点が主な変化のポイントになると思います。

 

  • 今まで以上に質の高い翻訳
  • 構成や編集チェックの能力が求められる
  • 企業に常駐する翻訳者の場合、周りの従業員とのコミニケーション能力や交渉能力も求められる(これはすでに、多くの現場で必要です。)

つまり、将来は翻訳者も翻訳だけ出来ればいいわけではなくなると思います。

当然、質の高い翻訳は求められます。それはいつの時代でも同じことです。

翻訳に限らずあらゆる仕事において、質の高いサービス・商品が求められるのは同じですよね。

高い質の翻訳以外にも、これからは翻訳者にも「柔軟性を持って現場の要望に答えていく」ことがよりいっそう必要になるでしょう。

Google翻訳の質が向上している

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10年ほど前にGoogle翻訳を使用したときは、不自然な翻訳も見られました。

しかし、ここ10年の間に不自然な訳はかなり減り、Google 翻訳の質は向上してきました。

ビックデータやAIが発展が主な理由です。

ほんの数年前までは、私もGoogle翻訳などの機械翻訳は使いませんでした。

それは、自分で翻訳した方が早くて正確だったからです。

しかし最近はGoogle翻訳を使うとかなり高い精度で翻訳してくれます。

そのため、個人的にはかなり助かっています。

AI翻訳の進歩により翻訳の仕事も減るのでは?と言われてますが、私はあまり心配していません。

もちろん翻訳の内容や、仕事の役割は変わっていくと思います。しかし、それは翻訳に限ったことではありません。

 

例えば電話の発展を見てみましょう。

電話をかける際、つい 40年ほど前までは電話をつなぐ、電話交換士が必要でした。

しかし、そのうちその職業も必要なくなりました。

それに代わって今度は、携帯電話やPHSが普及してきました。

そして2000年代に入るとスマートフォンが登場しました。

今ではSkype等の無料電話で世界のどこからでも電話できます。何時間話しても無料です。

しかも、今は1人が1台のスマホを持っている時代です。

世の中はどんどん進化し、そのスピードは増しています。

翻訳という職業でも柔軟性を持って対応すれば、失業せずに済むと考えています。

フリーランス翻訳者も柔軟性を持とう

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正直に言うと、フリーランス翻訳者だけで生活していくの、今よりも厳しい時代になると思います。

トップレベルのフリーランス翻訳者の年収が現在 700~800万円と言われています。

このレベルの人たちはほんの一握りです。

それ以外となると年収は経験や実力に応じて下がっていきます。

もちろん、そのトップ数パーセントを目指して、翻訳の勉強にまい進するのも、まったく悪いとは思いません。

ですが、考え方によっては、「インターネットを使って今まで庶民は得られなかった大きな富を構築できるチャンスだ」ともいえます。

2016年に安倍首相が「副業・兼業はオープンイノベーションや起業の手段としても有効であります」と述べています。

つまり終身雇用の時代は終わりが来たといえます。

そして、これからはこの時代は「自分で自分の身を立てていかなければならない時代」です。これは決して簡単なことではないと思います。

これは翻訳の業界においても同じです。

 

しかし、一般の会社員と比べてフリーランス翻訳者は時間の制約がゆるいです。

やりようによっては、自分の好きな時間に働き、好きな時間に休めます。

つまり、その間に副業をすることも可能です。

そして今はインターネットを使って様々な副業ができる時代です。

副業である程度の収入を確保できれば、後は少しずつでも翻訳を継続しながら翻訳者として食べていくことができます。

まとめ

いかがでしたか?

AI翻訳の進歩は止まりません。

いつの時代でも変化に対応するのは簡単なことではありません。

しかし、裏を返せば柔軟に対応できれば生き残っていけます。

そして、どうせなら楽しみながら変化に順応していきたいですね。さらに、順応することで自分の知らない可能性を広げられるかもしれません。